宅地建物取引士(宅建士)と行政書士の違い・難易度比較

宅地建物取引士(宅建士)と行政書士は、どちらを目指すか迷われることの多い組み合わせです。このページでは両資格を、合格率・勉強時間・難易度・受験料といったデータで並べて比較し、学習時間の目安からどちらが向いているかを整理します。

データで比較

項目宅地建物取引士(宅建士)行政書士
主催一般財団法人不動産適正取引推進機構(全都道府県知事の委任を受けて実施)一般財団法人行政書士試験研究センター(総務大臣指定試験機関)
合格率18.70%14.54%
難易度3/54/5
受験料8,200円10,400円
勉強時間の目安300時間800時間
試験形式四肢択一マークシート(50問)/筆記試験。登録講習修了者は45問(5問免除)。試験時間2時間択一式(5肢択一・多肢選択)+記述式/筆記試験。法令等46題+基礎知識14題の計60題(3時間)

宅地建物取引士(宅建士)とは

宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引に関する専門知識を持つことを証明する国家資格で、宅地建物取引業法に基づき、都道府県知事(試験実施は不動産適正取引推進機構)が試験を実施する。宅地建物取引業者は事務所ごとに従業者5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置くことが法律で義務づけられており、重要事項説明・重要事項説明書への記名・契約内容を記した書面(旧37条書面)への記名は宅建士のみが行える独占業務である。とりわけ重要事項説明は、契約前に取引の重要なリスクを買主・借主に説明する場面であり、宅建業法上、宅建士証を提示したうえで行うことが義務づけられている。不動産業界の入口として最も広く知られる国家資格の一つであり、毎年20万人以上が受験する国内有数の規模を持つ試験でもあり、国家資格の受験者数としては例年トップクラスの規模を誇る。宅建業者に限らず、金融機関・建設会社・不動産管理会社なども事業上の必要性から取得を推奨・必須化しているケースが多い。

出題範囲は、宅地建物取引業法・民法(権利関係)・都市計画法や建築基準法などの法令上の制限・税金その他の4分野、全50問で構成され、四肢択一のマークシート方式で実施される。宅地建物取引業法からの出題が最も配点比率が高く、次いで権利関係(民法)、法令上の制限、税・その他の順に出題数が多い。5問免除制度により、登録講習修了者は45問での受験となる点も特徴である。権利関係(民法)は行政書士・司法書士など他の法律系資格とも重なる基礎分野であり、宅建士試験の中でも得点差がつきやすい科目とされている。税・その他の分野には、印紙税・登録免許税などの税法に加え、統計問題や土地・建物に関する知識も含まれる。

標準的な学習時間の目安は200〜400時間程度とされ、合格ラインは例年35〜38点前後(50点満点)で年度によって変動する相対評価の試験である。合格率は例年15〜17%程度で推移しており、国家資格の中では中堅クラスの難易度とされる。試験は年1回、例年10月頃に実施され、受験者数の多さゆえに合格ラインが得点の相対的な位置によって毎年調整される仕組みになっている。

受験資格に学歴・年齢・国籍などの制限はなく誰でも挑戦できるが、合格後に宅建士として登録するには、実務経験2年以上または登録実務講習の修了などの要件を満たす必要があり、登録後に宅建士証の交付を受けて初めて重要事項説明などの独占業務を行えるようになる。試験は全都道府県で一斉に実施され、申込は例年7月頃に締め切られ、登録講習を受講する場合はさらに前倒しでのスケジュール管理が必要になる。

不動産会社や建設会社、金融機関の不動産関連部門への就職・転職を考える人に向く資格である。学習範囲が民法など他の法律系資格と重なる部分があり、行政書士やマンション管理士・管理業務主任者など上位・関連の法律系国家資格へのステップとして取得する人も多く、不動産・金融分野でのキャリアを築く際の基礎資格として広く認知されており、初学者でも学習内容が生活に身近な不動産取引に関わるため、法律系資格の入門としても選ばれやすく、社会人になってから初めて法律系資格に挑戦する際の入り口として選ばれることも多い。持ち家・賃貸を問わず自身の住まい探しに直結する知識でもあるため、業界を志望しない受験者にとっても学習内容自体に実利がある資格である。

活かし方: 不動産会社や建設会社、金融機関の不動産関連部門などで実務上ほぼ必須とされる資格であり、重要事項説明など独占業務を担える立場として就職・転職で優先的に評価される。宅建業者は事務所の従業者5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置く必要があるため、資格保有者は組織にとって欠かせない存在となり、資格手当を支給する企業も多い。

不動産売買・賃貸の仲介業務だけでなく、金融機関の住宅ローン審査や、証券会社・信託銀行の不動産関連商品の提案業務、ハウスメーカーの営業職など、活用の場は幅広い。宅建業の枠を越え、資産運用や相続対策の相談業務で不動産の知識が求められる場面でも役立つ。

学習範囲が民法など他の法律系資格と重なる部分があり、行政書士やマンション管理士・管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士など上位・隣接の国家資格へのステップとして取得する人も多い。将来的に不動産鑑定士など、より専門性の高い資格を目指す際の入口として位置づける学習者もいる。独立して不動産仲介業を開業する際にも自身が宅建士登録をしていれば専任の宅建士を兼ねられるため、開業のハードルを下げられる点も実務上のメリットである。

行政書士とは

行政書士は、官公署に提出する書類の作成やその手続きの代理などを独占業務とする国家資格で、行政書士法に基づき総務大臣指定試験機関である行政書士試験研究センターが試験を実施する。許認可申請書類の作成、遺言書・契約書などの権利義務に関する書類の作成、内容証明などの事実証明に関する書類の作成とその相談は行政書士の独占業務であり、無資格者が報酬を得て行うことは法律で禁じられている。「街の法律家」とも呼ばれ、法律系国家資格の中でも比較的間口が広く、独立開業がしやすい資格として知られている。行政書士制度は明治時代の代書人制度に起源を持つとされ、長い歴史の中で市民と行政をつなぐ実務家として発展してきた経緯がある。取り扱える書類の種類は1万種類以上とも言われ、建設業・飲食業・運送業などの許認可申請から、会社設立に伴う定款作成、外国人の在留資格関連手続きまで、その業務範囲は極めて広い。

試験は、憲法・民法・行政法・商法・基礎法学などの法令等科目(択一式・多肢選択式・記述式)と、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解といった幅広いテーマを扱う基礎知識科目で構成される。配点は300点満点中、法令等科目が244点(択一式216点・記述式60点相当を含む)、基礎知識科目が56点となっており、法令等122点以上・基礎知識24点以上・総得点180点以上をいずれも満たすことで合格となる、複数の基準点をクリアする必要がある試験である。記述式は1問20点と配点が大きく、合否を左右しやすい重要科目とされる。基礎知識科目には情報通信・個人情報保護や文章理解も含まれるため、法律科目だけでなく一般常識的な分野への目配りも必要になる、間口の広い出題構成である。

標準的な学習時間の目安は600〜1,000時間程度とされ、合格率は例年10%前後で推移する難関資格である。受験者の年齢層は幅広く、社会人が働きながら数年計画で合格を目指すケースも珍しくない。年度によって合格率に変動があり、直近では14%台まで上昇した年もあるが、法律の学習経験がない初学者にとっては憲法・民法・行政法という3本柱を基礎から積み上げる必要があり、まとまった学習期間の確保が求められる。他の法律系資格と異なり科目合格制度がないため、1回の試験ですべての基準点を満たす必要がある点も、学習計画を立てるうえで意識すべきポイントである。

受験資格に年齢・学歴・国籍などの制限はなく、法律の実務経験がない人でも挑戦できる。試験は年1回、例年11月頃に実施され、申込は例年7〜8月頃に受け付けられる。主催は総務省(実施は行政書士試験研究センター)である。合格後に行政書士として登録するには、日本行政書士会連合会への登録と、事務所を管轄する都道府県の行政書士会への入会が必要になり、開業には登録免許税や入会金など一定の費用がかかる。

独立開業を目指す人や、企業の法務・総務部門でキャリアを積みたい人に向く資格である。学習範囲が広く民法・行政法の知識は宅地建物取引士や社会保険労務士など他の法律系資格と重なる部分が多いため、これらとあわせて取得しダブルライセンスとして専門性を高める人も少なくなく、中小企業診断士など経営系資格と組み合わせて企業支援の幅を広げるキャリアも見られる。法律の実務経験を問われないため、社会人になってから法律分野へキャリアチェンジしたい人の入口としても選ばれやすい資格である。

活かし方: 独立開業がしやすい国家資格として知られ、官公署への許認可申請(建設業許可・飲食店営業許可・外国人の在留資格関連など)を扱う行政書士事務所を開業するほか、企業の法務・総務部門で契約書類の整備や許認可対応にあたる働き方もある。開業直後から一人で事務所を構えるケースが多く、他の士業に比べて初期投資が小さい点も参入しやすさの理由の一つである。

相続・遺言分野では、遺言書の作成支援や遺産分割協議書の作成など個人向け業務の需要があり、外国人の在留資格関連業務は国際化の進展とともに扱う事務所が増えている分野である。特定の分野に業務を絞り込み、専門特化した事務所として活動する行政書士も多い。

学習範囲が広く民法・行政法の知識は宅建士や社会保険労務士など他の法律系資格と重なる部分が多いため、これらとあわせて取得しダブルライセンスとして専門性を高める人も少なくない。中小企業診断士など経営系資格と組み合わせて企業支援の幅を広げるキャリアや、将来的に司法書士・弁護士などより難易度の高い法律系資格へステップアップする際の土台として位置づける学習者もいる。

宅地建物取引士(宅建士)と行政書士、どちらを選ぶべきか

学習時間の目安は「宅地建物取引士(宅建士)」が約300時間、「行政書士」が約800時間で、およそ2.7倍の差があります。まず短期間で取得して足がかりにするなら「宅地建物取引士(宅建士)」、腰を据えて上位の専門性を狙うなら「行政書士」が向いています。合格率で見ると「宅地建物取引士(宅建士)」の方が数値上は高く、初学者はこちらから入る選択肢もあります(ただし受験層が異なるため単純比較はできません)。どちらも実務で評価される資格です。目的(独立/就職/スキル証明)と使える学習時間から選んでください。

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