社会保険労務士と行政書士の違い・難易度比較

社会保険労務士と行政書士は、どちらを目指すか迷われることの多い組み合わせです。このページでは両資格を、合格率・勉強時間・難易度・受験料といったデータで並べて比較し、学習時間の目安からどちらが向いているかを整理します。

データで比較

項目社会保険労務士行政書士
主催厚生労働省(実施:全国社会保険労務士会連合会試験センター)一般財団法人行政書士試験研究センター(総務大臣指定試験機関)
合格率5.50%14.54%
難易度5/54/5
受験料15,000円10,400円
勉強時間の目安1,000時間800時間
試験形式選択式試験(空欄補充)・択一式試験(5肢択一)/筆記試験択一式(5肢択一・多肢選択)+記述式/筆記試験。法令等46題+基礎知識14題の計60題(3時間)

社会保険労務士とは

社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険関係法令の専門家として、労務管理や社会保険手続きの代行・コンサルティングを行うことができる国家資格である。就業規則の作成・変更、労働保険・社会保険の各種手続き、労務トラブルの相談対応など、企業経営の土台となる「人」に関わる法律実務を幅広く担う専門職である。人事評価・賃金制度の設計といった、より踏み込んだ人事コンサルティング業務を行う社労士も増えており、企業の人事・労務部門にとって不可欠な知識を有することを証明する資格として位置づけられている。社労士には、行政官庁への提出書類の作成・提出代行(1号業務)、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成(2号業務)、労務管理・社会保険に関する相談・指導(3号業務)という3つの業務区分があり、このうち1号・2号業務は社労士の独占業務とされている。

試験は1日で実施されるが、労働基準法・労働安全衛生法・労働者災害補償保険法・雇用保険法・労務管理その他の労働に関する一般常識・健康保険法・厚生年金保険法・国民年金法・社会保険に関する一般常識の8科目について、5肢択一式の「択一式試験」(70問)と、空欄補充形式の「選択式試験」(8科目各1問)の2パートから構成される。単に総得点で合否が決まるのではなく、科目ごとに設けられた合格基準点をすべて満たす必要がある「総得点+科目別基準点」の総合得点方式が採用されており、一部の科目で基準点に届かないだけで不合格となる厳しい仕組みになっており、総得点で上位に入っていても不合格になるケースがある点が、この試験特有の難しさとして知られている。

標準的な学習時間の目安は800〜1,000時間程度とされ、合格率は例年5〜7%程度で推移する難関資格であり、法律系国家資格の中でも司法試験・司法書士に次ぐ水準の難易度とされることが多い。科目数が多く、かつ法改正が頻繁に行われる分野であるため、学習範囲を網羅しつつ最新の法改正情報を追い続ける必要がある点が、他の法律系資格と比べても独特の難しさとされている。合格後も、働き方改革関連法や育児・介護休業法の改正など、実務に直結する法改正が続くため、登録後も継続的な学習が欠かせない専門職である。

受験資格には、大学卒業などの学歴要件、もしくは一定の実務経験や他の国家資格保有といった要件のいずれかを満たす必要があり、宅建士や行政書士のように誰でも受験できるわけではない点が特徴である。試験は例年8月頃に実施され、主催は厚生労働省、実施は全国社会保険労務士会連合会試験センターが担う。合格後に社労士として登録するには、2年以上の実務経験または連合会が実施する事務指定講習の修了が必要になり、登録後は各都道府県の社会保険労務士会に所属して業務を行う。

企業の人事・労務部門でキャリアを積みたい人や、独立して顧問先の労務相談・手続き代行を行いたい人に向く資格である。働き方改革やハラスメント対応、同一労働同一賃金など労務管理の重要性が高まる中、企業内での人事・労務のスペシャリストとしてのキャリアや、複数の企業と顧問契約を結ぶ独立開業の道など、多様なキャリアパスが考えられる資格であり、中小企業診断士など経営系資格と組み合わせて企業支援の幅を広げる人もいれば、行政書士とのダブルライセンスで許認可から労務まで一貫して支援する事務所を構える人もいる。

活かし方: 企業の人事・労務部門での就業規則整備や社会保険手続き、独立開業して顧問先の労務相談・手続き代行を行う際の専門性の証明になる資格である。働き方改革やハラスメント対応など労務管理の重要性が高まる中、企業内での人事・労務のスペシャリストとしてのキャリアや、複数の企業と顧問契約を結ぶ独立開業の道など、多様なキャリアパスが考えられる。

実務では、就業規則・賃金規程の作成や見直し、36協定など労使協定の届出、労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届といった定型的な手続き業務から、解雇・雇止めなどをめぐる労務トラブルの相談対応、助成金の申請支援まで、業務範囲は幅広い。人事評価制度や賃金制度の設計といった、より経営に近いコンサルティング業務に携わる社労士も増えている。

労働紛争の未然防止や助成金申請支援など、企業経営を下支えする専門家として幅広く活躍できるほか、社会保険労務士法人に勤務して組織的に業務を行う働き方も一般的である。中小企業診断士や行政書士とのダブルライセンスにより、人事労務から経営全般まで支援範囲を広げるキャリアも見られる。

行政書士とは

行政書士は、官公署に提出する書類の作成やその手続きの代理などを独占業務とする国家資格で、行政書士法に基づき総務大臣指定試験機関である行政書士試験研究センターが試験を実施する。許認可申請書類の作成、遺言書・契約書などの権利義務に関する書類の作成、内容証明などの事実証明に関する書類の作成とその相談は行政書士の独占業務であり、無資格者が報酬を得て行うことは法律で禁じられている。「街の法律家」とも呼ばれ、法律系国家資格の中でも比較的間口が広く、独立開業がしやすい資格として知られている。行政書士制度は明治時代の代書人制度に起源を持つとされ、長い歴史の中で市民と行政をつなぐ実務家として発展してきた経緯がある。取り扱える書類の種類は1万種類以上とも言われ、建設業・飲食業・運送業などの許認可申請から、会社設立に伴う定款作成、外国人の在留資格関連手続きまで、その業務範囲は極めて広い。

試験は、憲法・民法・行政法・商法・基礎法学などの法令等科目(択一式・多肢選択式・記述式)と、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解といった幅広いテーマを扱う基礎知識科目で構成される。配点は300点満点中、法令等科目が244点(択一式216点・記述式60点相当を含む)、基礎知識科目が56点となっており、法令等122点以上・基礎知識24点以上・総得点180点以上をいずれも満たすことで合格となる、複数の基準点をクリアする必要がある試験である。記述式は1問20点と配点が大きく、合否を左右しやすい重要科目とされる。基礎知識科目には情報通信・個人情報保護や文章理解も含まれるため、法律科目だけでなく一般常識的な分野への目配りも必要になる、間口の広い出題構成である。

標準的な学習時間の目安は600〜1,000時間程度とされ、合格率は例年10%前後で推移する難関資格である。受験者の年齢層は幅広く、社会人が働きながら数年計画で合格を目指すケースも珍しくない。年度によって合格率に変動があり、直近では14%台まで上昇した年もあるが、法律の学習経験がない初学者にとっては憲法・民法・行政法という3本柱を基礎から積み上げる必要があり、まとまった学習期間の確保が求められる。他の法律系資格と異なり科目合格制度がないため、1回の試験ですべての基準点を満たす必要がある点も、学習計画を立てるうえで意識すべきポイントである。

受験資格に年齢・学歴・国籍などの制限はなく、法律の実務経験がない人でも挑戦できる。試験は年1回、例年11月頃に実施され、申込は例年7〜8月頃に受け付けられる。主催は総務省(実施は行政書士試験研究センター)である。合格後に行政書士として登録するには、日本行政書士会連合会への登録と、事務所を管轄する都道府県の行政書士会への入会が必要になり、開業には登録免許税や入会金など一定の費用がかかる。

独立開業を目指す人や、企業の法務・総務部門でキャリアを積みたい人に向く資格である。学習範囲が広く民法・行政法の知識は宅地建物取引士や社会保険労務士など他の法律系資格と重なる部分が多いため、これらとあわせて取得しダブルライセンスとして専門性を高める人も少なくなく、中小企業診断士など経営系資格と組み合わせて企業支援の幅を広げるキャリアも見られる。法律の実務経験を問われないため、社会人になってから法律分野へキャリアチェンジしたい人の入口としても選ばれやすい資格である。

活かし方: 独立開業がしやすい国家資格として知られ、官公署への許認可申請(建設業許可・飲食店営業許可・外国人の在留資格関連など)を扱う行政書士事務所を開業するほか、企業の法務・総務部門で契約書類の整備や許認可対応にあたる働き方もある。開業直後から一人で事務所を構えるケースが多く、他の士業に比べて初期投資が小さい点も参入しやすさの理由の一つである。

相続・遺言分野では、遺言書の作成支援や遺産分割協議書の作成など個人向け業務の需要があり、外国人の在留資格関連業務は国際化の進展とともに扱う事務所が増えている分野である。特定の分野に業務を絞り込み、専門特化した事務所として活動する行政書士も多い。

学習範囲が広く民法・行政法の知識は宅建士や社会保険労務士など他の法律系資格と重なる部分が多いため、これらとあわせて取得しダブルライセンスとして専門性を高める人も少なくない。中小企業診断士など経営系資格と組み合わせて企業支援の幅を広げるキャリアや、将来的に司法書士・弁護士などより難易度の高い法律系資格へステップアップする際の土台として位置づける学習者もいる。

社会保険労務士と行政書士、どちらを選ぶべきか

学習時間の目安は「行政書士」が約800時間、「社会保険労務士」が約1000時間で、近い水準です。まず短期間で取得して足がかりにするなら「行政書士」、腰を据えて上位の専門性を狙うなら「社会保険労務士」が向いています。合格率で見ると「行政書士」の方が数値上は高く、初学者はこちらから入る選択肢もあります(ただし受験層が異なるため単純比較はできません)。どちらも実務で評価される資格です。目的(独立/就職/スキル証明)と使える学習時間から選んでください。

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